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ある夏のことだ。友人とともに、県境のダム付近にあるトンネルで、肝試しをしよう、という事になった。
ダムには曰く付きだが、トンネルは現在も利用されており、特に事故が多いわけでもない。
トンネルの近くに車を停め、数名の友人とトンネルへ向かう。
ふわり、
鈍い光を放つ蛍が、一行を追い抜い飛んで行く。その蛍のいく先には、白いTシャツ姿の男がいた。首にタオルをかけてガードレールに寄りかかり、タバコを吸っている。
気にせずトンネルへ向かった。
トンネルは灯りのない暗いものだが、平坦な道の為、向こう側の街灯が見える。
一般的な心霊スポットのように、ぽっかりと黒い穴が空いている、という感じではない。
一人ずつ懐中電灯を持って向こうに歩く。着いたら懐中電灯を点滅させて次の人が歩く。
私も何事もなく通り抜けた。
丁度私が通り抜け、合図を出した直後だった。
友人の一人が突然、トンネルの中に向かってダッシュした。
一瞬何事かと思ったのも束の間、トンネルの中で悲鳴が聞こえた。
私を含め友人達と、中へ向かう。
中に居た二人の友人は、一人は額、一人は口から血を流していた。
え、なに?
蛍を追いかけて行ったの。
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