第00話 プロローグ

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第00話 プロローグ

 いつもより少し早く目が覚めたから、いつも通り準備をしても、いつもより少し早く家を出られた。  そのせいか、いつもより人通りも少なくて見慣れた学校への通学路が少しだけ新鮮に見えて気持ちいい。  最近、セミの鳴き声が少しずつ増えてきた。  もう少しで夏休みだ。と思うと、ワクワクした気持ちと一緒に、部活以外なんにも書き込まれていない手帳を思い出すから切なくなる。今年は本当に惜しかったから、来年こそは全国に行きたいって気持ちも強いし練習だって毎日頑張ってるつもりではあるけど。結構ふんぱつした手帳だから、もう少し、こう、ね……。  毎日、部活で走って帰ったら近所で弓射って寝るだけの生活。  中学時代に想像してた女子高生ってもう少し華やかだったのに。  おかげですっかり流行に疎くなってしまった。カラオケに誘われても買い物に誘われても予定が空いてても、歌のレパートリーは古いしみんなのテンションが上がる話題には全くついていけないし。一人無言になってるうちに悲しくなりそうな恐怖心から断りたくなるし断ってる。     
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