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「変な噂があるの。」 葵が昼休みにそう言ってきたのは、それから2日後のことだった。 「変な噂?」 弁当に入ったプチトマトを摘みながら、沙羅は聞く。 「そう。直のことでね。」 そう言われて、沙羅は真剣な表情になった。葵が沙羅の方に顔を近づけ、声を落として言う。 「なんか、暴力事件を起こしたことがある、みたいな。」 沙羅がハッとなった。心当たりが、一つだけある。 その顔を見た葵は、そのまま続けた。 「それで、剣道部にも入部出来なくなったみたい。」 沙羅はそれを聞いて、唇を噛み締めた。 まさか。でも・・。 直は自分から人に喧嘩を売るような人間では無い。どちらかと言うと、この世では事なかれ主義でいるように見える。そんな直が暴力事件と呼ばれるようなことをしたと聞いたら、沙羅の心当たりは、後にも先にもあの1回だけ。 「もし良かったら、話、聞かせてくれない?」 そう言う葵に、沙羅はコクリと頷いた。
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