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道案内をするように僕が先を行く。 月の明かりだけを頼りになるべくゆっくりと歩いた。 日本は負けた。 戦争は、なにも残さなかった。 食料も、家屋も、装飾品も、美術品も、人さえも多くの物が灰となった。 そんな絶望の最中、月だけは綺麗だったのを覚えている。 そして、その月を見上げる彼の横顔も、目が醒めるほど美しかったのも――――。
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