プロローグ

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 昨今の子どもは発育が良くなったというものもあるが、彼の祖父も当時ではずいぶん背丈はあった方で、本当に彼を彷彿とさせるものがある。  青山はとくん、と高鳴る胸を抑える。 「そうっすか、じーちゃんがお世話になりました」  目鼻立ちのはっきりした青年は折り目正しく腰を折って深々とお辞儀をする。  彼の身につける学生服の皺ひとつさえ、見逃せないような時間の流れを感じながら、青山は 「ほんとうに…まるで…」  声を震わせて、喉の奥から絞り出すように続ける。 「…あの人に生き写しだね…」
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