赤い流れ星

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「せんせえ、行くよお」  それっと、バーナードが投げたボールは、すぐ地面にぶつかって、2、3度跳ねてから、亮輔の元に転がって来た。 「上手く投げらんないなあ」  バーナードは不満そうな表情を見せた。せんせえみたいに上手じゃないや、と。それを聞いて、思わず亮輔は笑う。 「僕だって、全然上手じゃないぞ?友達からは、鈍臭いなんて言われてさ」  そうそう、このボールを貰った奴からさあ……。そう言って亮輔は、拾い上げたボールを見つめた。 「せんせえ!」  バーナードの叫びに、はっと顔を上げた。 「早く投げてよう」  亮輔は苦笑いした。こんな話、子供にするもんじゃないよな。ごめんごめん、とボールを投げ返す。ところが手元が狂ったのか、ボールはバーナードの頭のはるか上を飛んでいった。 「あっ……」  だがこの小さな叫びは、ボールの行方を嘆くものではなかった。ボールを追った目線の先に映った、ボールのはるか上を飛ぶ戦闘機を見つけた絶望を嘆くものであった。
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