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「ダメダメ、ガンちゃんもニイも、見方分かんねーもん」
啓は亮輔に頭を下げた。
「な!一緒に行かね?お前、頭良いだろ?な!」
「いや!あの、そんな事しなくたって!……別に、僕は良いよ」
本当か!?と、嬉しそうに頭を勢いよく上げた啓に驚いて、亮輔は一瞬、うん、と返事するのが遅れてしまった。
啓は満面の笑みを浮かべている様だ。後ろの窓から射し込む強い夕陽の光の中に、彼の真っ白い歯が光っていた。
満天の星空の下、いつの間にか2人はごろんと寝転がっていた。綺麗だなあ、と啓が呟く。瞬く星達の中に、自分達の身体はゆらゆら泳いでいる様だった。
「ねえ」
「ん?」
「岩沢君達、誘わなくて良かったの?」
啓は 、うーん、と口を鳴らしてから、微笑んで言った。
「なんか、亮輔と来たかったんだよな」
どきっとして、思わず小さく、えっ、と言ってしまった。
「ありがとな」
亮輔は何だか照れ臭くなって、ごろんと横に寝返った。草の匂いが鼻を抜けていく。
「たはは、何だよ?」
そんな亮輔が可笑しかったのか、啓は笑った。
「……うん」
また、返事するのが遅れてしまった。それに本当は、他に言いたかった事があったのに。
さっきの飛行機は丁度、雲の向こうに隠れていくところだった。
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