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忍は自分の肩越しに、カウンターの奥に座るアンダーテイカーを盗み見た。彼女はなにが楽しいのか薄い笑みを口元に浮かべ、まるで鼻歌でも歌っていそうな様子だった。
――自分に合った武器? そんなのどうやってわかるんだ?
自分に合う。その事を必死で忍は考え続けた。
グレイブなどの長柄の武器は忍の手には余るように思える。忍の身長は一七〇センチちょうど。そこそこスポーツは出来るが、これと言って格闘技や剣術など習っていない。つまり、忍はそんな長柄の武器を扱えるような訓練された身体じゃない。
自分に合っていると考えた時、扱えそうという基準で考えるのが正しく思えた。
――じゃあ、どんな武器なら扱えるんだ?
棚に並ぶ武器を見ながら、忍はゆっくりと店内を移動した。
やがて、日本刀が並ぶ棚に移った。一口に日本刀と言っても、太刀や打刀など様々なものがあり、数万本あるのではないか? と思うくらい、日本刀のコーナーは異様に長かった。
――日本刀なんか……扱えるわけない。
もちろん、扱えたらカッコイイと忍も思う。しかし、日本刀ほど素人が扱ったらすぐに折れる物はないとドコかで聞いたことがあった。つまり、背伸びをしても、それは自分に合った武器とは言えないだろう。
――じゃあ、なんならいいんだ?
世の中にこれほど武器があるのかと呆れてウンザリするほどの量の武器が、この店に棚には並んでいた。それこそ、数十万、数百万点になるのだろう。その中からたったひとつだけを選ぶなんて、到底出来るはずがない。
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