第1章:魔術師のはじまり

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 アンダーテイカーのその返答に込められた強い拒絶の意思を感じ取った女性は素直に頷き、引きさがった。だが、空気を読まないヤツはどこにでもいた。 「ふざけるな! ここがドコでなんなのか? ちゃんと説明しろ!」  そう食ってかかったのは、三〇代半ばくらいのスーツを着たサラリーマン風の男性だった。その居丈高な口調にもアンダーテイカーは動じた様子もなく、ニヤリと口の片端を吊り上げるような笑みを浮かべた。 「説明して欲しければ、まずは貴方が自分に合っていると思う武器をひとつだけ選びなさい。話はそれからよ。私から話すことは以上。これ以上、無駄口を叩くようならここで閉店するわ」  まったく譲る気配のないアンダーテイカーの言葉に、サラリーマン風の男は顔をしかめて睨みつけた。だが彼女は婉然とした笑みを浮かべたまま、カウンターの向こう側で座り続けていた。  とにかく、アンダーテイカーの言葉に従い武器を選ばなければ話は進まない。 「言う通り、武器を選ぼう。そうすれば、話が進むだろ」  そう言って立ち上がったのは、二〇代半ばくらいのドレッドヘアの男だった。その言葉に促されるように忍も立ち上がり、すぐ近くにある棚に目をやった。  棚には長柄の巨大な斧が幾つも立て掛けられている。その隣りの棚には、グレイブと呼ばれる西洋薙刀が並んでいた。  違う列に目をやると、今度はマスケット銃が幾つも並んだ棚があり、その隣には日本の戦国時代に使われていたような火縄銃が並んでいた。  棚や武器に薄く埃が積もっている事から見て、かなり前からここに並んでいるものなのだろう。中には銃身に錆が浮いたものまであった。 「こんな中から武器を選ぶのか……?」
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