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『銀河鉄道の夜』のクライマックス直前で、本を閉じた。
すぐに読み切ってしまうのは勿体ない。素敵な話を読むと不思議な余韻に包まれ、その中にずっといたいという気持ちが強くなる。
『銀河鉄道の夜』もそうだった。
世界観に浸りながら、自分が銀河を走る鉄道に乗る時のことを空想してみる。星屑に包まれるのは、きっと気持ちがいいだろう。きらきらと光る天の川の傍を走りながら、たくさんの星座を眺めるのだ。
「ねーパパ。銀河のお祭りって、素敵だと思わない?」
「そうか、銀河は数学でもよく取り上げられるぞ。銀河の渦巻きという話があってな」
「ううん、結構です」パパの寂しげな顔を無視して、私はまた本を開いた。
パパは高校で数学を教えている。職業病なのか、パパはすぐに数学の話に持っていこうとする。パパなりのコミュニケーション方法なのはわかるけど、数学が苦手な人からしたらつまらないだけだ。
だけどそんなパパに、マイちゃんは恋をしているらしい。
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