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1.あらすじ(第1話)
西暦20××年──今よりもほんの少しだけ先の未来、日本のとある街から物語は始まる。
その夜、世間は一世紀ぶりとなる“巨大彗星の太陽系回帰”に湧いていた。
各地に観測所が設けられ、並みいる天文家たちはもちろん、ごく平凡なサラリーマンから学生、物心ついたばかりの子どもらでさえも、固唾を飲んで空を見上げながら、“その時”を待っていた。
そんな世間の熱気も上の空に、夜の中学校に忍び込む一人の学生の姿があった。蟷螂竜二──この物語の主人公、中学二年生の男子生徒である。
生来“あまのじゃく”な性質である彼は、世間を騒がす天体ショーよりも、ソーシャルゲーム「ドラゴンズ・バースト(通称ドラバ)」のイベントに熱意を燃やしているようだ。
ところが、ドラバの夜イベントに備えた昼寝から目覚めたタイミングで、肝心のスマホを学校に置き忘れていたことに気がつき、慌てて取りに戻って来たのである。
すると、そこで大胆不敵にも夜の校庭で天体観測を試みようとする幼馴染:蛇塚一樹と遭遇する。幼馴染の奇行を咎めつつも、一樹の誘いにまんまと乗せられた竜二は天体観測に付き合うこととなる。
より高い観測スポットを目指し、校内へと立ち入ろうと試みる二人は、庭先でオオカマキリの幼生を目撃する。持ち前の生物学知識でカマキリの解説をしながら、竜二は亡くなった自身の父親である生物学者:蟷螂良助のことを思い起こしていた。
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