12人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
それでも陸のデートの申し出をすぐに断り切れなかったのは、別室に移動した両親たちの盛り上がる声が聞こえていたから。
親同士が仲良くなりかけているのだと分かると、結果として縁談を断ることになったとしても、もう少し今のままでいさせてあげたいと、そう思ってしまったのだ。
仲良くなれば、破断になった後でも、親たちだけでも交流は続くのではないかと、まだ学生の私は安直にそろばんを弾いてしまった。
もちろん社内人になれば、そんなものが続くはずがないことくらい分かるのだが。
最初のコメントを投稿しよう!