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 それでも陸のデートの申し出をすぐに断り切れなかったのは、別室に移動した両親たちの盛り上がる声が聞こえていたから。  親同士が仲良くなりかけているのだと分かると、結果として縁談を断ることになったとしても、もう少し今のままでいさせてあげたいと、そう思ってしまったのだ。  仲良くなれば、破断になった後でも、親たちだけでも交流は続くのではないかと、まだ学生の私は安直にそろばんを弾いてしまった。  もちろん社内人になれば、そんなものが続くはずがないことくらい分かるのだが。
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