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まだ知らない
「よ、住田。こんなとこで何撮ってんの?」
「ああ、生駒くん。ほら、あれ。あそこのバカップル」
「ん?あれ?裕輝と……佐藤?何、あいつら付き合ってんの?」
「そ。先週美結の方から告白して、付き合う事になったんだって。で、かれこれ一時間もこんな寒いのに外で話ししてるの。ね?バカップルでしょう?」
「え、もしかしてストーカー!?あいつらのこと一時間も撮ってんの!?」
「は!?違うから!雪景色撮りに来たら見つけたの。それで、撮り終わってもまだ居たの!だから、明日美結の事からかってやろうと思って撮っただけ!」
「ストーカーとか、マジ引くわ」
「……だから違うって。それにしても、よくこんな雪降るような寒い日に外で話し込めるわよね。気が知れないわ。私なら絶対に無理!」
「へぇ、そんなこと言うってことは、住田さ、今まで好きになった奴そんな居なかっただろ」
「そうよ。悪い?……そう言う生駒くんはどうなのよ」
「居るよ、好きな奴」
「ふーん。じゃあ生駒くんも楽しい?こんな寒い中で話すの」
「うん、楽しい」
「うっそだあ。寒いだけじゃん」
「いや本当だから。だって俺、今楽しいもん」
「へー。そうなんだ」
「そうそう」
「ふーん……ん?ちょっと待って。今?今って……。それ、どういう意味?」
「さあ、どういう意味だろうな」
「え?あ、待って。ちゃんと教えて」
「いや、教えない。後は自分で考えろ。じゃ、また明日な」
「え、や、ちょ、待って!生駒くんっ!!生駒くんってばぁ!」
了
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