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それから数か月後、
雪子と健一は北海道へ出発した。
健一も雪子も仕事を辞めた。
それまでせっせと貯金して費用に充てたのだ。
「フェリーで行こうよ、
なんとなく情緒があって、いい感じ」
荒々しい海を見ながら徐々に近付く
北海道に胸が高まる雪子だった。
札幌に着くと2人は直ぐにバスに乗った。
場所は母から聞いていた。
苫前町。日本海側の留萌に当たるが、
母の住んでいた場所はそこから
旭川との中間にあたる山奥の村だった。
海岸線をバスで走り、断崖絶壁をすり抜け、
広い平野に出ると雑木林の手前で
数頭の鹿が草を食んでいた。
「やっぱり北海道は景色が全然違うね、
素晴らしい」
感激する健一だった。
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