その4 展開

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 湯飲みを取り出し砂を払ってみると 側面に平仮名で しほと書いてあった。 「志保ばあちゃんの湯飲み・・・」 大切にカバンの中に入れた。 「その下になんかあるよ」 健一が叫んだ。  下から出てきた物は、 何重にもビニールでくるまれたノートだった。  ノートをめくると 志保と書かれていた。 鉛筆でカタカナが混じった字だが 綺麗でしっかりした字体だった。 「志保と部落」  冒頭に書かれていた。  興奮してページをめくって読もうとする雪子に、 「町へ下りてか、家に帰ってから ゆっくり読んだ方がいいよ、 ここで時間を潰すのは危ない気がする」 健一が言った。  
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