その4 展開

6/7
前へ
/99ページ
次へ
 はっ!と我に返った雪子は あたりを見回して帰る決心をした、その時、 3匹の小さな獣がキュンキュン鳴きながら近付いてきた。 「狼?犬の赤ちゃん?」 子供の狼はしっぽを振りながら 息絶えた老狼の周りに集まり顔を舐めていた。  ふと見るとその後方に数頭の 若い狼が様子をうかがっていた。 「雪ちゃん、早く行こうよ! 僕らもやられるかも」  健一は腰が抜けそうだった、が、 雪子は自然と笑みが漏れた。 「そうじゃないと思う、この子達は 志保ばあちゃんの友達の子孫だと思う」  近くに寄って子供の頭を撫でた。 様子を見ていた他の狼も雪子のそばにやって来た。 「志保ばあちゃんを守ってくれたのね、 ありがとう」  狼を撫でながら涙を流した。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

124人が本棚に入れています
本棚に追加