第2話 変身‐ライドオン‐

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 高度を上げたウエイブは先に打ち上げられたブレイガンをキャッチし、ガンモードからブレードモードにコンバートする。迎撃しようとスティングフィッシュが目視で捉えた瞬間、ウエイブは青い波動の放出と共に加速する。  急降下落下の勢いを乗せて振り下ろされたブレイガンは翳された槍を砕きスティングフィッシュに頭から縦一文字の傷を刻みつけ、ウエイブは反撃を繰り出される前に即座に側転で後退する。 『ウガァ……ァァァアァァッーーッ!!』  退いて一旦様子を伺うとスティングフィッシュは言葉にならない雑音を口から喚き、散らかす所謂半狂乱といえる状態に陥っているようだった。それを確認するとウエイブは再び前方に駆け出した。 『に……人間……如きがァァァッ!!!』  ウエイブの接近を視認したスティングフィッシュは迎え撃つ為に拳を振り上げる。だがその瞬間、間合いを詰めたウエイブの繰り出した蹴りが先にスティングフィッシュの胸を撃った。 『ァ――ッ』  蹴撃の衝撃がスティングフィッシュの全身を迸った。スティングフィッシュの眼が見開いたかと思うと弾ける飛沫に包まれながら崩れ落ち、その姿は人間態へと戻って倒れ伏せた。  背中には槍で貫かれた蒼く濡れた傷口が見えていた。身体の前面に刻まれたであろう傷口から死体を中心に青い血潮が見る見るうちに広がり、血だまりを作っていく。 『……やったか?』  先程、心臓を貫いたにもかかわらず反撃を受けたことが相当応えているのか身体が残っていることで安心できなくなってしまった。脈が動いていないのを確かめても後で動き出すのではないかと可能性を懸念せずにはいられない。  しかし今の状況はは通常なら威力の高い攻撃でトドメを刺してしまうが故に飛沫となって爆散消滅しまうウォーマの遺体が残っているという希少らしい状況、それを見越して持たされているモノを使う時が来た。黒色のプレートを取り出して起動する。そこから粒子が放出されて箱状のケースが形成されてそれの中身を開き、サンプリングツールを取り出す。 『ええっと……』 「あの……お手伝いします」 『あぁ……ありがとう』  背後から七海に話しかけられたので海翔はクリアの小瓶とケースに入ったピンセット、透明な手袋を七海に差し出した。
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