第2話 変身‐ライドオン‐

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『くれぐれも直接は触らないで。っていうか、近づくだけでも気を付けて――って、ちょっと待ちなさいよ』  注意事項を話してる時に何かがおかしいことに気づいて、差し出した手を引っ込めた。 『あの……手伝ってもらえるのは嬉しいのだけど……こんな見ず知らずの怪しい奴と――』 「中の人は……大洋海翔くんで合ってますよね?」 『確かにそうだけど……いや、この惨状を見てよく平然と手伝うって……』  この場所は赤いか青いかの違いを除いて惨殺死体が転がっているのと変わりない。それにしてはこの少女は平然とし過ぎている気がする。 「いや……二度も助けてもらいましたし……」 『いや、一人で大丈夫だ』  ウエイブは先程渡しかけたツールを使って採取を行う。小瓶の中には投擲に使われた針を入れ死体にはカプセル状の器具の先端を突き刺すとそこから血を吸い上げられてカプセルの中にたまっていく。  サンプルをケースにいれてから再びプレートを操作するとケースは粒子となって収納サンプルをえていく。 『……とりあえず、ここから離れる。掴まって』 「は、はい……」  警察車両と思われるサイレンの音が響き渡ってくる。姿を見られて面倒ごとになる前にとウエイブは七海の背中に手を回してを膝から担ぎ上げ、川に向かって走り出した。 「ッ……!!」 『いや、息を止める必要はない――』  次の瞬間、七海を担いだまま空中に飛び上がったウエイブを青い奔流が出現して包み込み青い光球を形成して川に飛び込んだ。 「寒くない……苦しくもない……この感じって昨日の……」  七海の言う通りこの技は昨日、七海を助け出したときに使ったのと同じ技だ。冬というのに涼やかで、水中のようなのに苦しくない優しい空間を作り出す――そして、七海を冬の川の寒さと呼吸 不可の状態から守りつつ川を昇っていく。  そして、少し経ったところで光球は浮上、跳躍して再び地面に降り立つ。姿を見られたくない事を優先したので辺りにはだれもいない。役目を終えた光球は飛沫となって弾け飛んで二人の姿が露になる。 更に七海を下したウエイブがドライバーを展開してウォーシャナイトを取り出して、再びトリガーを引くとウエイブのアーマーが飛沫となって弾け飛び海翔の姿に戻った。
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