第2話 変身‐ライドオン‐

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「ポケットに入ってる僕の携帯を使って……海本広海っていうアドレスで連絡を……」 「えっと……これ……?」  七海は海翔のポケットからシーフォンを探し当てる。そして、海翔の言う通りアドレスから海本広海を見つけ出して電話を掛ける。 『あ、もしもし海翔君かい?どうしたの――』 「あ、もしもし――えっと……ッ」  七海が通話口に向けて返事をしたがその直後に沈黙した。 「あぁ、ごめん……要件を伝えてなかった……」  要件は広海に迎えに来てもらう事。厳密には車を持ってきてほしいという事だ……七海には申し訳ないが車が来るまで待ってもらうことになる。それでも充てもなく待ち続けるよりかはずっとマシではあるだろう。 「う……ぅ……」 「だ、大丈夫……?」 「眠い」  通話が終わった時、海翔に眠気が襲い掛かってきた。広海が来るまで起きておかないと思って目に見開いていっぱい力を込める。だが、抗う事が出来なくてそのまま意識を手放した。                    §§§ 「ん……ッ」  目が開いた……だけど暗いままだ。寒さは感じない布団をかぶっててるのは分かる。だが、顔を上げようとしたら頭をそっと抑えられふわっとした感触が顔に押し付けられた。 「苦しい……よ……姉さん……!」  その時、海翔は解放された。その次の瞬間、布団が勢いよくめくりあげられてパッと部屋の電気が着いた。 「おはよー、海翔」 「おはよう、姉さん……」  明かりがつくと目の前には少女が一人悪戯っぽい笑顔を浮かべながら座っていた。彼女は海翔とは血のつながりを持たないが姉である大洋海花。海翔にとっては唯一、身近にいる女性。年は誕生日をまだ迎えていない18の大学生、女性というにはその顔にはまだあどけなさを残している。      性格は弟である海翔とは対照的なのがイタズラっぽい笑顔に端的に表れているだろう。無防備にも肩を大きく開けさせたオフショルニットのミニワンピースを着て、恋愛感情を持っていない弟が相手とはいえ年頃の娘が年頃の少年の前でするにはかなり大胆な格好だが信頼している故の無防備さと言えるのだろうか。
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