第3話 逆行‐リジェクション‐

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「出来は完璧――」 「後は実戦データによるといった所かな――海翔くんが適合しているのはドルフィナイト……近似種故に適合できる可能性もなくはないけど」 「――拒絶反応≪リジェクション≫に呼応して起動するプロテクトをかけておく必要がある。海翔くんなら拒絶反応に真っ向から刃向うに違いない」 「ならブレイガンへの専用?効果にムラがあるんじゃない?いっその事、汎用型に切り替えたらどうだい?」 「ウェイブレイガンはドルフィーナイトから生成される関係でプレートによっては波動生成、同調浸透の補助が可能になる。モノとモノ同士ならこちらでの調整もそう難しくは無さそうなんだ」 「一長一短って言った所か。最大値の拡張でもない限りはどちらも本人の波動制御精度でどうにかなりそうな問題だなぁ――」  着地点が同じなら選ぶのは道中の難易度となる。汎用型とはウエイブレイガンのオリジナルで海翔の使うウエイブレイガンは広海がアーマー形成の指向に余地を見出しプログラミングして形成を可能にしたもの。  どちらもナイトから形成されるのには変わらないがウエイブレイガンの方がウエイブとの親和性が高くなっている。波動制度の問題と言うのは威力を上げるための近道か否かという事であり出せる威力に差があるというわけではない。 「そして、最後にコレだけど――」 「これは中々のジャジャ馬に違いない――いや、君の気持ちは分かるけどねぇ。あわよくばこれでウォーマを倒そうって腹積もりだっただろう?」  意図を理解しつつも苦笑いが「よくこんなの作ろうなんて気になったね」という本音を表している。むしろ、広海の思いからすれば妥当なのは彼女も認めている所なのだが。 「出来る事なら今でもそうしたいさ――」  二つのウォーシャナイトが外される。代わりに黒いウォーシャナイトが一つ、指しっぱなしのナイトの横に差し込まれた。そして、広海の指が素早くキーを叩いていく。 「私は先に休ませてもらってもいいかな……」 「うん……大丈夫……」 「じゃあ、眠らせてもらうとするよ……あんまり無理はするなよ」 「あぁ……」  話し相手がいなくなると再び雑念が沸いてくるのを広海は感じる。苦さで雑念をごまかすかのようにコーヒーを飲み干して広海はキーボードを叩き続けた。           §§§
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