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「無理させたかな……」
「君が注文を付けたわけじゃないんだから気にすることはないよ。こうなるから無理はするなって結構言い聞かせてるはずなんだけど……あ、コーヒー飲む?」
「あ、頂きます」
コーヒーの注がれた銀色のカップを受け取ると海翔はそのまま口に運び、ソッとすする。
「熱い……」
だが、入れたての熱さに負けてカップから唇を離して冷ますために息を吹きかける。満浴沙はその様子を少し見つめてから口を開いた。
「本題だけど――」
コーヒーを飲み終わったところへ満浴沙が銀色のジェラルミンケースを片手に歩み寄ってデスクの上に置いて海翔に向きを合わせた。
「開けて良いよ」
了承を受けて海翔の手が二つのスナップ場を外してケースの蓋を持ち上げる。そこにあったのは綺麗に納められた色以外は類似した形をしている三つのグリップの着いたプレート即ちウォーシャナイト。一つは今も持っているプレートと同じ色をしたブルーのプレート、グレーのプレートにアイスグリーンのプレート。
特徴としてはグリップエンドが動物の顔の形をしている――
「ウォーシャナイト……それも、三つ」
「こっち二つがブレイガンに装填して使う用、こっちが単体で展開して使うやつ」
前者にグレーとアイスグリーンが、後者にはブルーのウォーシャナイトが指示された。海翔は順々に手にとってみる。
「パワーアイテムって聞いてたけどどちらかというと装備ですね」
「あー、本来ならね……ここで適合率の話になる」
適合――簡単に言うならば波動と人間が波動に馴染めているかを数字にしたもの。この存在がウエイブが誰にでも変身できる訳ではない理由である。この数値が高いに越したことはない、低ければ拒絶反応が使用者へと及ぼされる可能性がある。
「理論上、変身に必要な適合率の数値は最低で60%――ただ、今使っているドルフィナイトに適合できるからと言ってこの二つに適合できるかは分からない。近縁種なら――この場合はドルフィンウォーマのウェーブの適合者はノーファルウォーマとヒポポタスウォーマのシンクロは高めになる傾向は確かにある」
カバがクジラに近い種類だというのは海翔も聞いたことがある。生物学的要因ならセミュートから因子の大元のウォーマと似た波動を感じた。
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