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怒涛の第三話「 科学のじかん。 」
授業の開始のチャイムが鳴る。
生徒達は言われる間もなく席に着いていた。
一限目、それは渡先生による初めての授業。
" 科学 " の授業である。
先生による初めての授業に生徒達は
心臓のポンプの圧力を高めていた。
私は、相田 聖子。
渡先生による化学の授業は迂闊な
行動には出れない授業となったのだった。
『 これより、敵組織に対抗する為に化学薬品を
用いて爆薬を作成する。大変危険な為、ゴーグルを使用し安全に取り組むように。 』
目の前に並べられた薬品に生徒達は
手を震わせ息をごくりと飲み込んだ。
こんな授業、教育委員会が
知ったなら大問題だわ。
渡先生はやっぱり異常よ。
生徒達は渡先生の指導の元で
薬品を調合していく。
それはそれは慎重にだ。
少しでも分量を間違えたなら
生命はないだろう。
汗を握る作業に意識を失う者も出ていた。
「 相田、肩の力を抜け。大丈夫だ、俺が付いている。お前なら必ず作り上げることが出来る。これを作り上げる事が出来た時、お前はまた強くなれる。」
先生は私の肩に腕を回しギュッと抱き寄せ
作成の一部始終を側で見てくれていた。
何だか心臓がドキドキする。
少し見上げた先生の顔は
何処か切なささえも感じる。
もしかして、このドキドキは恋なのかな。
他の生徒が作成に失敗し負傷する中で
相田は爆薬の作成に成功する。
「 ・・・やったぁ、わ、わたし出来た。 先生、私ッ・・・。 」
先生は優しい微笑みでこちらを見つめて
頭をそっと撫でてくれた。
『 お前は凄いよ、こんな危険な薬品を調合して
爆薬を作り上げてしまうのだから。 』
他のクラスメイトは盛大な拍手を私に送った。
あれ? 先生はもしかして危険な実験をする事で
生命の大切さを教えてくれたのかな。
そんな先生の温かさに私は惹かれ始めていた。
渡先生は、素敵な先生なのかも知れない。
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