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「 大丈夫ですよ、そちらで得た情報は漏れないように教育してありますから。質問など烏滸がましい真似は致しませんのでご安心を 」
ドヤ顔をしっかり決めている渡先生に対して
工場の方はどう反応すればいいか困惑気味だ。
工場内には二列になって入っていく。
入るなり直ぐ視界に飛び込んで来たのは
コンベアに乗せられている小さな鉄の部品だ。
生徒の一人が手を挙げ質問しようとする。
「 あの・・・ 」
工場の方はにっこりと微笑み
質問に耳を傾ける。
『 おい、佐々木。この工場で何の部品が製造されているか質問しようとしているな? 先程も言ったが工場内で目にした物をそれ以上知り得ようとするな。情報の開示はあちら側が口を開くまで聞いてはならない。それが課外授業のルールだ。』
渡先生の言葉にギョッとした目で
言葉を失ってしまう工場の方。
見学に来たというのに誰一人も質問を
する事なく終えた工場見学。
「 今日はありがとうございました。生徒達に大変貴重な現場を見せてあげる事が出来て良かったです。工場で製造されている情報を流すような真似は致しませんし、これからも企業の発展を応援しております。世界征服も夢ではないですよね、電子機器の製造で。 」
その後、全く学習する事が出来なかった
生徒達は感想レポートを提出するのに
苦労したという。
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