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『 このボールを避けれなければ死ぬんだ!!そう思って本気でぶつかり合おう!俺達はマフィアにも屈しない三年F組だろー?!! 』
「「 おおおぉおおお!!! 」」
何処かの熱血漫画の様な展開が
僕の視界に広がり始めた。
飛び交うボール、運動神経の悪い僕は
直ぐに的にされる事は分かっていた。
「 当れぇええ!!全員ぶちのめしてやる!! 」
凄まじいスピードを上げるボールは
僕の顔面へと向かっていた。
痛みは覚悟していた。
僕はそっと目を閉じ耳を澄ませた。
『 死なせるもんか。 』
斉藤が洋服乃を目掛けて飛んできた玉を
ギリギリで受け止めた。
「 ・・・斉藤?? 」
ゆっくりと開いた視界の先で
額から汗を流し摩擦により手を負傷した
斉藤がにこりと微笑んでいた。
「 馬鹿だな、お前。死なせるかよ、こんな所で。外野に行けば楽になるってか? そんな事、この俺が許さねぇからよ。 」
「 ・・・お前、その手・・・。 」
「 気にすんな、こんなのお前が死ぬことに比べたら何でもねぇよ。 」
その時、僕は思ったんだ。
渡先生が何故体育の授業でドッジボールなんかを
選択したのかを。
どんな状況においても誰かを守る。
仲間同士の絆を確かめる、そして築き上げる。
そんな意味が込められているという事を。
あぁ、渡先生は本当のところいい先生なんだ。
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