初めが肝心の第一話「 新任教師現る。 」

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初めが肝心の第一話「 新任教師現る。 」

―うららかな春。 それは出会いと別れが重なる時。 都内に聳え立つ、世紀末(せいきまつ)高校。 桜舞い散る中で新たな新任教師が学校へと 向かっていた。 『 此処が世紀末高校。邪悪な気配がする。』 校内に響き渡るチャイム。 生徒達は新しいクラスに興奮しているのか チャイムが鳴っても尚、席には着いていない。 ガラガラガラ・・・。 卒業を控えている三年F組の教室の扉は 静かに開かれた。 扉が開いた音に気が付いた生徒達の 視線は一瞬にして教卓のある前方へと 向けられる。 「 ほぅ、開始のチャイムなどに翻弄されない というその根性は見上げたものだな。」 生徒達の目はギョッとする。 教卓に立つ新任教師は、派手な衣装に 身を包み怪しげな笑みでこちらを見ているからだ。 教師の異常さに直ぐに気が付いたF組の 生徒達は注意を受ける事もなく自ら 自分の席へと大人しく着席した。 教師は席に座る生徒達の顔をぐるりと 見渡すと口を開いた。 『 今日からこのクラスの担任を務める (わたり) 廊下 (ろうか)だ。 一つ忠告しておくが俺は普通の人間ではない。 』 その外見を見て「 正常 」だと思う人間の 方が少ないであろうと生徒達は各々に思う。 赴任前はイケメンな先生が赴任してくるという 噂が流れていたがいざ実部を前にすると 顔立ちより何より異常な服装に目がいってしまい それ以上の事は考えれなくなってしまう。 万が一にでもこの人物が普通の装いを していたならば " イケメン " という 表現するも間違いではなかったであろう。 完全に引き気味の生徒達と渡先生は 卒業まで上手くやっていけるのだろうか。
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