宙の記憶

1/61
前へ
/61ページ
次へ

宙の記憶

 夢を見る。  果てしない空間を、いつの間にか発生した大きなエネルギーに乗って渡っている。その空間は数多のエネルギー物質で満たされ、それらが様々な力で引き合い、反発し合い、均衡を保っている。その概念を知らないはずなのに、夢の中の自分はその空間を『海』に似ていると思っている。静かな宙(そら)で、時に大きな、時に微小なエネルギーに乱されながら、それでも自分は止まることなくただそこを渡っている。  果てしない、光と、無と、力と、あの静けさに、胸が、  胸が――
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加