罪と罰

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 朝。それは突然に告げられる。  普段は現れない時間に、普段は現れない刑務官。彼は犯罪史に残る殺人犯。警戒して大人数でやってくる。  朝に弱い彼は都合がいいと言わんばかりに無視して二度寝、彼等に担がれて移動する。教誨師と喋って、お菓子をちょこっとつまんで。  そして目を覆われ、手足を拘束され。いよいよ、その時が来た。  彼は、空を見上げた。  勿論真っ暗で、波長の短い青の光や水蒸気の塊なんて見えない。だが、そこには確かに感じられるものがあった。  そこに垂れ下がる、一筋の── 「ハッ、やっぱり褒美じゃないか」
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