1人が本棚に入れています
本棚に追加
朝。それは突然に告げられる。
普段は現れない時間に、普段は現れない刑務官。彼は犯罪史に残る殺人犯。警戒して大人数でやってくる。
朝に弱い彼は都合がいいと言わんばかりに無視して二度寝、彼等に担がれて移動する。教誨師と喋って、お菓子をちょこっとつまんで。
そして目を覆われ、手足を拘束され。いよいよ、その時が来た。
彼は、空を見上げた。
勿論真っ暗で、波長の短い青の光や水蒸気の塊なんて見えない。だが、そこには確かに感じられるものがあった。
そこに垂れ下がる、一筋の──
「ハッ、やっぱり褒美じゃないか」
最初のコメントを投稿しよう!