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「志田航大。殺人容疑で逮捕する。」
押しかけた警察が何かの紙を見せ付けて言う。逮捕状というやつなのだろうが、そんな細かい文字を突き付けられても読めやしない。読ませる気すらなかろうが。
しかしまぁ、案外うまくやってきたなと思う。もっと早くに終わるものだと思っていた。
『死にたい』
そんなふうに思った事が、皮肉にも彼の第二の人生の幕開けとなった。
高校を出て就職、一人で暮らすには問題なく、しかし遊ぶ余裕なんてない生活。仕事柄職場での出会いは少なく、恋人も久しく出来ていない。これといった趣味もなく、少ない収入にしてはかなりの貯金が貯まった。
そんな生活で、ふと思ったのだ。
何故、生きているのか、と。
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