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 真面目に勉強する日々を送り始めると、周囲も必然的にそういうメンバーばかりになった。  授業をサボってバイトに明け暮れ、恋愛にうつつを抜かす連中は凪彦達を奇異な目で見ていたように思う。  だが、彼らよりも気持ちの分かり会える数少ない仲間や、何より朔弥と一緒にいるほうが凪彦にとっては居心地が良かった。 「先生って、結婚とかしないんですか?」  ある時、ゼミの飲み会で誰かがそんな話を振った。  すると朔弥は困った顔で「女性に縁がないようだ」と返事をした。 「結婚願望がないわけじゃないんですよ。でも、今まで付き合った方とは結婚したいタイミングが合わなかったり、同棲してから違和感が出てきたり……私が悪いんでしょうかねぇ?」 「学生と付き合うとか、そういうのはないんですか?」 「それは……いろいろ問題がありますよねぇ。准教授という立場上、女性に接する方法を間違えるとすぐにセクハラになってしまいますから」  朔弥がそう言うと、周囲で話を聞いていた女子学生たちがあからさまに残念そうな顔をした。  ゼミの女子学生たちの中には朔弥の気を引こうとおしゃれをしたりダイエットに励んだりしている者も何人もいた。  
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