思いの錯誤

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*  急にずしりと感じた身体の重みに、目を開けようとする。  しかし、べっとりと貼りついた瞼は、聖司の意思に反して視覚を生かさなかった。 「……った……」  突如聖司を襲う激しい頭痛。  感覚の鈍い腕を上げ、痛む額を押さえた。  まだ身体が熱をこもらせているとわかる。  深く深呼吸をすると、重かった身体がさらにベッドに沈んだ。 (今さら、あいつの夢見るなんて……。相当、重症だ)  夢の中だったのに、身体には彼女が触れた感触が残っている気がした。  愛らしい声。指先に触れるさらりとした髪。  聖司を包む華奢な掌。  もう10年以上も感じていないのに、妙に鮮明に感じられた記憶。  そして、なぜだか心地のいい怠さが下半身にあった。 (どんだけ色魔だよ、俺……)  夢だったけれど、頭を撫でられる安心感は、変わらなかった。  あの小さな手の、額に残る感触を思い起こす。  すると、聖司は違和感に気付いた。  額に置いた自分の腕の下に、冷たい何かが貼り付けられている。 (……あ、れ……? )  聖司は額に掌を宛てると、明らかな異変に気がついた。  重い頭で思い起こす今朝の記憶。  体温を確認して部屋まで這ってきた。     
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