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カーディガンでは足りない冷えを感じる早朝。
仕事に出かける支度を済ませて薄手のコートを羽織り、玄関で携帯に目を落とす。
靴を履く前に見たのは、手の中で光る、何度も、何度も、何度も繰り返し見た、文字のやり取り。
日付はもう、ひと月以上前のものだ。
最後に送ったメッセージは、いまだに読まれた形跡がない。
溜め息も溢さずに、携帯をバッグに仕舞った。
もう期待はしていなかった。
こうなることは、仕方のないことなのだと諦めていた。
あれから、彼からの連絡は、一切無くなってしまっていた。
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