堕ちる夜

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 深く貫かれた部分から、成美の意思に反して身体が快楽ごと彼を取り込もうと強く絡みつく。  突き抜けるような快感に、媚肉は彼をきつく締め上げる。  だらしのない声を漏らすと、聖司もまた苦悶を眉間に寄せ男性らしからぬ声を鼻から抜いた。  ゆっくりと始まった抽挿に再び朦朧とし始める意識。  五感で、彼を感じる。  時おりくれる、優しいキスの味。  成美を追い立て辱しめながらも、合間に漏れる彼の甘い吐息。  そっと触れた胸板は、わずかに汗ばんでいて、成美を激しく犯すオスの匂いに酔わされる。  夢中で本能をぶつける彼の恍惚な表情が、悦に満ちる身体を、さらなる高みへと突き上げていった。 「……にっ、たく……、新田くん……っ」 「もっと、もっと、昇って……」  飛びそうになる意識を必死で保とうと、何度も彼を呼ぶ。  彼はそれに応えるように、快楽に震える成美を抱きしめた。  激しさの増した彼に、身体は卑猥に啼き叫ぶ。  彼からはぐれないよう、広くてたくましい背中に手を回す。  耳元で、彼の鼻にかかる声を聴いた瞬間、強い閃光の爆発に、意識が激しい真っ白の火花を散らした。  突き抜ける激しい快感を、大きく揺れる彼の下で受け止める。  身体を融け合わせながら、彼が快感の全てを掴み取るように成美の中で脈を打つ。  薄れいく意識の中で遠く聴こえたのは、余裕のない彼の声。 「…………――さき…………」  彼が何を口にしたのかわからないまま、温かな体温と混じり合いながら、成美の意識はそのまま白濁の中に溶けていった。
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