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髪を乾かし洗面所を出て、朝食の支度に取り掛かる。
手狭なワンルームの部屋に戻ると、カーテンの隙間から眩しく射し込む光のたもとに、ベッドに潜ったままの聖司の寝顔があった。
(昨夜は獣みたいに獰猛で蕩けるほど色っぽかったのに、……寝顔は仔犬みたい)
羽布団から覗くたくましい肩と腕にどきどきと胸を鳴らしながらも、枕に埋もれる寝顔はとても無防備で、思わず目を細めてしまう。
10年前、ただただ彼の横顔を見つめるだけだった日々。
10年という長い空白を超えて再会したばかりの彼と、今は同じ部屋にいて、そして昨夜は密なる関係を持ってしまった。
どうしても思い出してしまう昨夜の情事に、身体は簡単に反応する。
熱い指と舌が身体を這い回る、あの甘い凌辱。
シャワーでは流しきれなかった彼の感触が、成美の身体に熱をくべようとする。
疼き出す身体を誤魔化そうと無防備な寝顔から視線を引き剥がし、エプロンを身につけてフライパンを手に取った。
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