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「よし」
厚焼き玉子を二切れと紅鮭の切り身をひとつ鈍色の和皿に並べて、軽く盛った水菜に真っ赤なプチトマトを添える。
同じ皿に真っ白のおにぎりを二個置いてから、 わかめと豆腐の味噌汁をよそったお椀をテーブルに並べた。
小さな白いテーブルに向かい合う二人分の朝食の出来栄えはとても満足だ。
いつもひとりだった食卓が華やかになり、ふふ、と思わず笑みを漏らす。
「イイ匂い」
ふたつの湯呑にほうじ茶を注いでいると、突然聴こえた声に小さく肩が飛び跳ねる。
部屋の方を振り返ると、朝陽の筋に照らされる聖司の柔らかく細められた眼が成美を見ていた。
「お、おはよう、新田くん。起きてたの?」
「うん、おはよ。さっきね」
さっき、というからには、目覚めてしばしの時間があったことがうかがえる。
独り言やニヤつく自分を思い起こし、それを見られていたのではないかという羞恥に焦ると、案の定だ。
「ずっと見てるの気づかなくて、笑いこらえるの必死だった」
「お、起きてるなら起きてるって言ってよ、恥ずかしいっ」
「もう何にも恥ずかしいことなんてないだろ。昨夜あれだけ……」
「いっ、言わないでいいっ!」
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