見せない心

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 上目遣いで聖司を見つめ、女は聖司のオトコをひと撫でした。  しかし、聖司は眉ひとつ動かさない。 「慰めて、ほしいの……」  あからさまな誘いの言葉に、聖司は眉間に不快なシワを寄せた。 「優しい優しい旦那さまがいるでしょう……」 「あの人じゃダメよ……もうスタミナ持たない年齢だもの」 「だったら、他当たってください……」 「聖司の身体がいいの」  女は艶かしくそう言うと、聖司の腰に手を回す。  背伸びをして、キスでもしそうなほど聖司に顔を寄せた。 「どの口がそれ言うんですか……ここの講師、生徒問わず食ってるくせに」 「そんな下品な言い方しないで?相変わらず冷たいのね」 顔を背け至近距離を回避する聖司に、女はスカートから伸びる足を絡める。 下半身を聖司の足に擦り付け、いやらしい吐息を溢した。 「ん……」 「本郷先生」  大袈裟に溜め息を吐き、聖司は女の手を腰から退ける。  バサバサっと持っていた生徒の個人ファイルが床に散った。  握りつぶしそうな力で、女の手を扉に押し付ける。 「……戸締まり、お願いしますね」  凄むように低く呟き、女の手を引いた。  扉の前から女の体を退けると、床に散ったファイルを拾った。 「女一人に防犯頼むの?」     
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