見せない心

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*  予備校の建物裏の駐車場に向かうと、外灯から離れた暗がりの中に愛車を見つける。  周囲に姿が見えない梓はおそらく車内だ。  待たせていることに少し申し訳なさを感じながらも、近づく足取りは重かった。  運転席側のドアを開けた瞬間に、梓の涙声が漏れてくる。 「……せん、せ……」  いつものことだと呆れ、さっと車に乗り込みドアを閉めた。 「ロックは掛けなさいっていつも言ってるだろ」    暗がりの中、車内に灯るルームランプの淡い明かりに浮かんで見えたのは、艶かしい女の生足。  助手席に両足を上げ、いやらしげな水音を自ら掻き鳴らす梓の醜態だった。 「誰か来たらどうするんだよ。襲われても知らないぞ」 「……だ、ってぇ……先生の匂いに、包まれて、たら……我慢、できなくて……」  はあはあと火照った息を零す梓は、運転席の聖司を潤んだ瞳で見つめる。  聖司の姿を見たからだろうか、梓は自分を激しく追及しだした。 「せ、っせぇ……っ」  苦しく啼く声が密室を満たしていく。  聖司はその様子を無感情で視界に映す。  片手で自分をかき回し、もう一方の手はシャツの下で自分の乳房を揉みしだく。     
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