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乱れた呼吸を整えながら、梓は、へへ、と満足気に微笑む。
こちらをうっとりと見つめる姿が、信号の赤い光に照らされた。
ゆっくりと車を停止させると、隣に大型トラックがつけてきた。
やかましい音がわずらわしく、窓を閉める。
静けさを取り戻した車内で、梓は目を瞑った。
それを横目で見て、聖司は無表情を真正面に保つ。
(生徒にこんなことをさせている俺も、あの女と変わりはないのかもしれない)
自分の素行を鑑み、梓の寝息を聴きながら、自分を嘲った。
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