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「え?新歓ライブ、ユカボーカルやんねーの?」
「うん、男性ボーカルの曲やりたいなって」
「そっか…なんかもったいねーな」
忙しいシュンとは、週1回デート出来ればいい方。
それでも、楽しそうに音楽をしてキラキラ輝いてる姿を見るのが好きだった。
「でもまぁ2回生になったら学祭ライブは2曲出来るし、そうなったらユカとハヤト交代でボーカルも出来るよな」
「……うん」
……本当は、あまり目立ちたくない。
PINKYの事もあるけど……最近、やっぱりどう考えても嫌がらせされてる。
スコアがなくなったり持ち物が壊されていたり、相変わらず小さな嫌がらせだけど。
それが誰の仕業なのか分からないから、常に周りを気にして怯えてしまってる自分がいた。
それでもきっと……あたしが相手にしなければいつかは諦めてくれるはず……。
唯一事情を知ってるハヤトはよく気にかけてくれたけど、それ以外誰にも言わなかった。
絶対に誰にも知られない様に、気にしてることを悟られないように……みんなの前ではいつも笑顔でい続けた。
こんな事で参っていたら……シュンの彼女でいる資格がないような気がする。
それより何より、シュンには絶対に知られたくない。
ハヤトをボーカルにしたおかげか、新歓ライブは何事もなく無事に終了。
相変わらずRed Hotは大人気だったし、新入生にもシュンのファンが一気に増えた。
……元々、女友達も多いし男女問わずスキンシップをする事が多いシュン。
それまでは気にしてなかったのに……女の子がシュンに近付いて体に触れたりするのを見るだけでチクチクと胸が痛む。
そんな醜い感情を抱く自分にも嫌気がさす……。
最初は小さかった黒いシミは、少しずつ心を蝕んで広がっていった。
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