実験室のキキとララ

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実験室に入る前に、あなたはスタッフから実験専用の服を用意されました。 脳波や脈を取るために、いくつもの計器が貼り付けられ、さらに刺激を避けるよう、柔らかで締め付けないジャージのような服を着せられたのです。なんとなくワクワクします。これでのんびりすれば、お金も入る、とそんな考えでしょう。 「実験の前にルールを説明します」 中野教授が唐突に言いました。今度は本当に厳しい表情です。真面目な声でこう告げます。「これから無刺激の密室に入り、どれだけ耐えるか実験をします。しかしランダムにアナウンスが入ります。それに回答しても、沈黙してもかまいません。守らなければならないのは、そこできみは絶対に本名や所属を告げてはいけないということ。絶対に、だ」 「……はい」 「そして本気で自分が危ういと思ったら『実験中止を要求します』と言ってくれ。変なガマンはしなくていい。または、きみが耐えられないと判断した場合、こちらから密室のドアを開けて終了とする」 「……はい……」 ピリピリした緊張感が漂います。中野教授も、手伝うスタッフも、険しい顔つきをしてあなたを見つめました。なんだか異様な感覚ですが、とりたてて激しい恐怖もなく、なんとなく「この程度でおびえるなよな、自分」と心の中でつぶやきます。 とにかく奇妙なのは、本名や所属を告げてはいけないというルールです。なぜだろう?そしてアナウンスとはなんだろう? 一体これは何の実験なのだろう……。
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