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「かっこいいー!!!ユカさんも!!ギター上手いね!!」
ハヤトの二次会の動画を観て、えみかが興奮した声を上げる。
ユカのスマホで撮ってもらった動画を、えみかが送ってもらったらしい。
「……ユカばっかり褒めてるな」
「そんなことないよ?シュン…ヤキモチ!?」
「何嬉しそうにしてんだよ!」
ニヤけるえみかを捕まえて唇を塞ぐ。
「…ん…っ……ところで、誰にも声かけられてない?」
「ナイって!ユカにも聞いたんだろ?」
……ハヤトの結婚式の前日。
「やだー!!だってただでさえカッコいいのにスーツ着て、しかもボーカルとして前に出るんでしょ!?絶対モテるじゃん!!やだー!!」
「……あのなぁ……俺はえみかしか興味ないって言ってんだろ」
「そうじゃないの!シュンが興味なくても、周りの女の子が勝手に寄ってくるの!!」
えみかは駄々を捏ねる子どものようにぎゅっと抱き着いてくる。
あーバカ…可愛すぎだろ……。
「…そんなに心配なら、ユカの連絡先教えるから見張ってもらえよ」
「ユカさんも行くの!?」
「ああ、ユカの元バンドメンバーだからな」
「じゃあそうする!!」
あれ以来、えみかはユカに妙な信頼を寄せている。
もちろん俺もユカも、完全に恋愛感情はないと言い切れる。
……で、二次会の後ユカから動画と「ちゃんと見張ってたから心配ないよ!」というメールが来たらしい。
えみかは何回も、うっとりした表情で動画を観ていた。
「ハヤトがプロポーズしたのも、ユカ達が色々考えて手伝ったらしいよ」
「へー!どんな?」
「ハヤトが趣味でやってるバンドのライブに彼女を呼んで、サプライズで彼女の為に一曲歌ったんだと」
「素敵ー!!自分の為に歌ってもらうなんて、憧れちゃう!!」
……んな事言われたら、せっかく持ってる武器使うしかねーじゃん。
俺は部屋の奥に置いてあったギターを持ってくると、チューニングを始める。
「シュン?」
「……言っとくけど、一人の女の為だけに歌うなんて初めてだからな?」
えみかが驚いたような表情で頬を染めた。
俺はコードを押さえてメロディを奏で始める。
「Stand By me...」
・:*+.End.:+
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