7人が本棚に入れています
本棚に追加
「シュン」
「……ハヤト」
俺達は4回生になり、それぞれ就職も決まって卒業間近という時だった。
……俺は結局、あれからずっとユカに会っていない。
サヤカは会うようにと勧めてくれたらしいが……ユカが会いたくないと言ってる、とハヤトから聞いた。
「あの時……PINKYが退部した時、悪かった」
「……何が?」
「ユカが会いたくないって言ったのは嘘なんだ……俺が会わせたくなかった。ユカを守ってやらなかったシュンにムカついてたから」
……なんとなく、そんな気はしていた。
でも、守ってやれなかったのは事実だ……だから俺も諦めた……。
「……俺がユカの傷を癒してやるって、そう思った……でも、ダメだった。ユカはお前じゃないとダメなんだ……今更だけど……」
「…………」
「ユカに会って話せよ、シュン」
……あれから2年の間。
相変わらず言い寄って来る女達と、俺は何人も付き合った。
まさに来るもの拒まず、去るもの追わず。
どの女もユカのようには好きになれなかった。
付き合ってもほったらかしで、セックスもただの性欲処理。
丁寧にする気になんてなれなくて、結果「冷たい」だの「愛がない」だの同じような事を言われてフラれる、の繰り返しだった。
俺は、自分の事しか考えてなかったあの時のまま……何も成長していない。
それどころか……今の方がもっと酷いのかもしれない。
「……ユカは、会いたいって言ってるのか……?」
「…………」
……それだけ、俺が付けた傷は深かったんだ。
それなのに今の状態の俺が会ったところで、また傷付けるだけだ……。
そう思っていた。
……でも、俺はただ色々と理由を付けて逃げていただけだったのかもしれない。
望みがないのに追いかけるなんてカッコ悪いって思ってたんだ。
結局卒業しても就職しても、心のどっかでずっと後悔し続けた。
最初のコメントを投稿しよう!