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「諦めるのか?」
目の前には困ったような表情の鈴木。
「だって……好きな人と付き合ったのに、入り込む余地なんて……」
「本当にそれでいいのかよ?気持ちを伝えないと後悔するぞ」
鈴木の好きなヤツに彼女が出来たらしい。
でも本当にそれでいいのか?
俺みたいに後悔したら……。
……ああ、そうか。
俺が鈴木に色々やってたのは、本当は自分の為なのかもしれない。
「私だって……言いたかった……っちゃんと好きって……でも蜂谷くんは……」
突き放すような言い方に聞こえてしまったんだろうか。
鈴木は肩を震わせて泣き出してしまった。
……っていうか待てよ?
蜂谷?
同じ営業部で鈴木と同期の……。
……へーえ……ふーん……。
どっちかっていうと可愛い系で、年上の女に可愛がられてる感じの、蜂谷か。
泣き止みそうにない鈴木の頭に手を置いて、優しく撫でる。
「……悪かったよ。お前だって言いたくなくて言わなかった訳じゃないよな」
……しかし、今まで別れた彼女とか……女に泣かれた事はけっこうあるんだが……
大体泣かれると余計気持ちが冷めてしまうというか……。
でもなんか……鈴木は、アレだな。
いじめたくなるっつーか……可愛い泣き顔してんな。
……そういえばユカもそうだったな。
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