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さすがにもう焦らそうなんて到底思えない。
この間は……俺の態度が悪かったんだけど……えみかはずっと辛そうで、悲しそうな顔をしていて。
俺はそれをちゃんと見ようともせずに誤魔化すように抱いた。
でも今日はちゃんとお互いの気持ちを伝え合って、それを確かめ合うように体を求めた。
気持ちが伝わるってこんなにも気持ちいいのかって、驚く程だ。
……体の相性、イイのかもしれないな。
少なくとも俺はえみかの体にヤバい程ハマった。
ただ、えみかは不安だと言う。
ただでさえモテる俺がこんなに優しくて甘々だったら他の女が黙ってないと……。
「俺はえみかにしか甘くするつもりないけど?でもそんなに心配だったら……」
「え?」
「会社でも付き合ってる事を公表したらいい」
「えー!?絶対無理!!あり得ない!!」
……そこまで否定されるとなんかムカつくな。
「…なんでだよ?」
「だってそんな事したら絶対女子社員からイジメに遭う!!」
……大学時代のユカを思い出すと、今でも胸が痛む。
俺のせいで嫌がらせに遭ってたのに俺は全く気付かず、一人で耐えていた……。
……でも俺は、もう絶対にえみかの手を離す事はしない。
絶対に守ってみせる。
「何があっても俺が守る。誰にもえみかに手は出させない。だから……俺を信じてくれないか?」
「…………はい」
大学時代に傷付けて、傷付いたこの両手。
あの時は守れずに大切なものを手離してしまった。
でもそのおかげで、今があるのかもしれない……
今になってやっとそう思える。
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