7人が本棚に入れています
本棚に追加
ドラムスティックがカウントを取った後、ギターがメロディをかき鳴らす。
マイクに向かって歌う、久しぶりの感覚。
隣でギターを弾くユカ、ベースのヤエ、ドラムのサヤカと順番に目を合わせる。
演奏したのは「Stand By Me」
久しぶりに再結成したHalloweensに招かれて、ボーカルとして参加した。
舞台はハヤトの結婚式の二次会だ。
一番を歌い終えたところで、スネアが4回ビートを刻む。
一気に転調して、今度はアップテンポになった演奏に乗せて、最後まで歌い切った。
「サイコーだった!アレンジ考えたのユカ?」
Halloweensのメンバーがハヤトと順にハイタッチをする。
「みんなでだよ!久々のライブ楽しかったー」
「ああ……一番驚いたのはお前だけどな!」
最後に俺とハイタッチをして、抱き合った。
「俺もユカから言われたんだよ。ボーカルやんのサプライズにしろって」
「あのなー…シュンを呼ぶか迷った俺の気持ちも考えろよ!」
「ごめんね、ハヤト……あの時も……」
ハヤトは顔を綻ばせる。
「……お前らがずっと仲直りしないままだったのが、今でも心残りだったんだからな。一番のサプライズだよ!」
卒業してからもハヤトはたまに連絡をくれていた。
自分勝手な俺を最後まで見捨てずにいてくれた、ホントに大切な仲間だ。
今度、蜂谷とえみかも連れて新居に遊びに来いよと言ってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!