Stand By Me

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案の定……ライブ後ユカと俺は写真攻めに遭った。 俺は正直慣れてるけど……ユカに寄ってくる男が気になって仕方ない。 ……これって、まるで…………いや、あまりに自覚がないから心配なんだよな……。 実際、あれからユカを紹介しろっていう男が何人もいる。 もちろん俺は適当にかわし続けたが……ある日、ユカが先輩に連れて行かれるのを見てしまう。 ……こんな人気のない教室で……ったく…何やってんだよ……。 「ユカちゃんって彼氏いるの?」 思わず扉に隠れて聞き耳を立ててしまった。 「俺がギターの事とか色々教えてあげるよ!今日とか暇ある?」 「え……」 「ユカ!!」 ……何やってんだ、俺。 思わず飛び出して先輩を追い返してしまった。 それでもまだ何も分かってないような様子に、イラつきを覚える自分がいる。 「……言ったよな?隙だらけだったら男が寄ってくるって」 「だって先輩は……」 「じゃあ、こういう事されてもよかったのか?」 戸惑うユカの両手首を掴むと、机の上に上半身をそっと押し倒す。 ……別に力づくでもなんでもないのに、あっさり覆い被さる体勢になった。 やっぱり隙だらけじゃねーか! 「中には悪いヤツだっているかもしれないし、そうなったら力で敵わないだろ?」 もし他のヤツにこういう事されたら……って、なんでこんな事思うんだ……? ユカの目に涙が滲むのを見て我に返る。 ……違う、こんな事が言いたいんじゃなくて……。 「……シュンくん?」 助け起こして顔を近付ける。 少し怯えたような、不安げに揺れる瞳。 ……俺が見たいのはこんな表情じゃなくて……。 「……ユカ見てたら危なっかしくて心配で堪んねえ……全然可愛い自覚ないから……」 「可愛くなんか……」 言葉で何回言っても、きっとユカは自覚しない。 もどかしくなって思わずその体を抱き締める。 「ほら、またそう言う……心配なんだよ。ユカ……もうずっと俺のそばにいろよ」 ……そうだ。 俺はユカに笑って欲しいんだ。 「……な…なんで……?」 「……ユカの事好きだから……俺じゃダメか?」 ユカの笑顔が好きだから。 「……ダメじゃ、ない……」 「じゃあ、決まりな」 やべー……めちゃくちゃ嬉しい……。
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