Stand By Me

7/22
前へ
/22ページ
次へ
ユカも甘えてくるタイプじゃないし、俺達の付き合いは周りから見ると淡白な感じだった。 「お前そんなんで大丈夫なのか?」 「は?どういう意味だよ、タク?」 バンドメンバーのタクは、Halloweensのサヤカと付き合ってる。 「シュンってなんか人前で付き合ってる感出さねえのに、そのクセ他の女ともフツーに肩組んだりスキンシップ多いじゃん」 「お前らがバカップルなんだろ。それに他の女には下心ねーし」 「そういう態度だから勘違いする女が多いんじゃねーの?」 ……まぁ、正直なところ自覚はしてる。 まずバカップルだと思われたくないから、人前でベタベタはしない。 ユカの前でも、あんまりデレデレした顔は見せたくないし。 ……それに、他の女と絡むのは……ヤキモチを妬かせたい願望ってのはある……。 それは今思うと、アサミがいつも俺にしてた事だった。 結局アサミはマジで他に男がいたんだが…… 俺はただ妬いてる顔を見たいだけで、全くやましい事なんかねえしな。 タクには、そのうち捨てられるぞって脅されたけど…… 大丈夫だよ、俺は……。 「シュン!ちょっと話があるんだけどいい?」 ある日PINKYのリンに声をかけられ、断る間もなく空き教室に引っ張ってこられた。 「あのね……あたし本当にシュンのこと好きなの!」 ……は? いや、リンの気持ちは薄々分かってはいたが……俺にはユカがいるって分かってるはずなのに……。 しかもコイツの場合、下手にフると面倒くさそうだ。 言葉を探していると、突然リンが顔を覆って泣き出した。 「お…おい、分かってると思うけど俺は…」 とりあえずハッキリ言っておこうと顔を覗き込んだ、その瞬間。 腕が伸びてきて、頭を抱え込むようにして引っ張られる。 思わず体を押し返すと、リンは唇を押さえながら不敵に笑った。 「……キスしちゃった」 「……何考えてんだよ!?俺はユカ以外の女と付き合う気なんかねえよ!」 くっそ…さっきのもウソ泣きか……。 「……ふぅん……でも、もうダメになっちゃうかも……」 「は!?」 「とりあえず、あたしの気持ち覚えててね?」 リンの言葉が気になったが……それ以上は何も言わずに去ってしまった。 もうこれ以上は関わらないに限る。 胸に残るモヤモヤを吹っ切りたくて、ユカに電話をかけたが……コール音が延々と鳴るだけ。 「……くっそ……」 時間を置いて次にかけた時には電話は繋がらなくなっていた。 そしてその後は……もうユカに会う事は出来なかった……。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加