2人が本棚に入れています
本棚に追加
「窓からあなたが見えたので、おせっかいかなと思いつつ出てきちゃいました。もし迷惑でなければ、少しお茶していきませんか?」
男性がそこです、と指差した先に目を向けると、そこには『縁茶屋』と書かれた、シンプルな看板が立っていた。
「僕の店なんです。今日は休業日なので、大したおもてなしは出来ないんですけど、それでも良ければ」
その柔らかい声に、表情に、彩はまた泣きたい気持ちになった。けれども、不思議と断る気にはならなかった。
彩が言葉を出せずにただ頷くと、男性はそれではどうぞ、店の引き戸を開けて、彩を招き入れてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!