1/1
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ

私、椎名めぐみは何事も楽しみたい。 友達付き合い、部活、できれば勉強? も。 とにかく何をするにも楽しんでいたい。 そのためのモットーはいつでも元気に明るく、だ。 君島くんとはこの明石西高校で、席が隣どうしになって、少しお話する仲になったクラスメイト。 初めて話しかけた時、同い年とは思えないくらい落ち着いていて、だけれどどこの文学人ですかって突っ込みたくなるような(突っ込んだけども)変なしゃべり方で、なんだかそれがおかしくて、それ以来ちょいちょいちょっかいをかけるようになってしまった。 出来ればお腹を抱えて大爆笑して、さらにはひーひー言ってるところなんかを一度は見てみたいんだけど、如何せん中々笑いの壺は見えてこない。 今もすっかり恒例となった朝の挨拶がてらのやり取りでも微塵の笑顔も見せない君島くんは、やはり強者だ。 「おはよー。美奈」 「おはよー。めぐみちゃん」 自分の席に着くと同時に、後ろに座る友人の高野美奈に挨拶。この娘とも二年生に上がる時に知り合った。 小柄で控え目な性格が私とは正反対な気もするんだけど、小動物みたいな仕草がとっても可愛くて、すぐ好きになってしまった。 五月の席替えがあった時も、続けて後ろの席になり、最初は受け答えもおどおどしていた彼女も、今ではようやく打ち解けてくれた、と思う。 私はいつでも誰にでも明るく元気に接しているつもりだ。 けれど時にはそれが災いして相手を引かせてしまう場合もあったりするんじゃないか、と思う時もある。 まあその場合はその人とはウマが合わなかったのかなって、あんまり行き過ぎないようにはしているつもりなんだけど、でも美奈のことはすごく好きだから、そんなことを思われていたら、ショックで落ち込んでしまうかもしれない。いや、というかそんな事が発覚したら落ち込むどころかもう夜も眠れなくて食事も喉を通らなくなって痩せるわクマは出来るわで今の私の個性は間違いなく崩壊ね。 要するに、それだけ美奈を友達として気に入っているってこと。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!