第十三章 この道や行く人なしに秋の暮れ(の続き)

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第十三章 この道や行く人なしに秋の暮れ(の続き)

有名な芭蕉の句「この道や行く人なしに秋の暮れ」をこの章のタイトルとしました。句からは最後の放浪に旅立つ決定と、なんとも云えない独り身の寂しさが、また世間・浮き世から離れ行く寂しさが伝わって来ますね。しかし考えてみれば死ぬ時は誰も一人で行くのです。生きて来たすべての責任を背負って一人で粛々と行くわけです。いつかはせねばならないこのおのれ自身への旅、という意味でこの句を引きました。実際に芭蕉のように旅立つことまでは必要ないでしょうが、このおのれ自身への旅、すなわち各々の抱く業との対峙は、早ければ早いほどいいでしょう。西行の出家の本懐もそこにこそありました。その末に光明を見んがためです。今風に云えば♪「われは行く」♪というスバルの心境…ということになりましょうか?
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