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病院
サクラとは大分仲良くなったわ。
まあ、初めから私の一人相撲だったのだけれども。
サクラは最初から私と仲良くしたかったけど、私は意地で拒んでいただけだったのね。
もうそのことはいいじゃないのよ。
さて。
そんな昔のことを掘り返すより大事なことがあるわ。
またこの季節がきてしまった。
飼い主様に籠に収容され、謎の施設に運ばれて、そこでお尻にぶっとい針を刺される季節が。
飼い主様には日々感謝していますわ。
寝床を用意してくれて、ご飯を用意してくれて。私たちを愛してくれている。
けれども。
けれども、お尻に針を刺すあの儀式に、一体何の意味がありますの!?
はっ!?
飼い主様の私を呼ぶ声が聞こえる。
ミ~ヤちゃ~ん、ミ~ヤちゃ~ん、と。
さながら死の宣告だわ。いや、死にはしないけど、あれは死ぬほど痛いのよ!
私は逃げ出そうとした。
が、目の端にぬくぬくと寝ているサクラを捉え、逃走を中断する。
「サクラ! サクラ! 起きなさい!」
私はサクラを叩き起こす。
サクラはまだ半分寝ているようだった。
「サクラ、今日は飼い主様に近づいてはだめよ! 理由は後で説明するから!」
そう言った矢先、飼い主様から言葉が発せられる。
サクラちゃ~ん、サクラちゃ~ん、と。
サクラは寝ぼけながら飼い主にとてとてと近づいていった。
「ばかーー!」
その後、あえなく私たちは捕まった。
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